第3戦のスタート進行について考察してみた

第3戦アメリカズGPの決勝は、スタート直前にマシンを乗り換えるためピットボックスへ駆け戻る選手が多数発生して大混乱となり、赤旗中断。本来よりも1周短い19周で仕切り直しになりました。このスタート進行ではいったい何が起こっていたのか、選手たちの様々な思惑や目論見なども検証しながら振り返ってみることにしましょう。
西村章 2025.04.01
読者限定

 レースをご覧になっていた方ならおわかりのとおり、大騒ぎの引き金を引いたのはマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)。レーススタート前のグリッドでは、大半のバイクが前後ウェットタイヤを装着していた。いましもウォームアップラップに出ようかというタイミングで、ポールポジションのM・マルケスがいきなりグリッドを離れてピットへ駆け戻り、前後スリックのマシンに乗り換える判断をした。これ後を追ってチームメイトのペコ・バニャイアや2番グリッドのアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)などが駆けもどり、ピットレーンとグリッドが突然わちゃわちゃの混乱状態となって、スタート進行は赤旗中断、あらためてクイックプロシージャでレースがスタートすることになった。この混乱の模様は公式サイトでもレース全篇のアーカイブから確認できるので、興味がある方は是非チェックをしてみてほしい。

 まずは確認のため、ピットレーンへ駆け戻ってバイクを交換した選手を列記しておこう。M・マルケス、F・ディ・ジャンアントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)、A・マルケス、P・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)、F・モルビデッリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)、F・バニャイア、J・ミル(Honda HRC Castrol)、J・ミラー(Prima Pramac Yamaha MotoGP)、M・ビニャーレス(Red Bull KTM Tech3)、F・アルデゲル(BK8 Gresini Racing MotoGP)の合計10名。それ以外の12選手はグリッドについたままでスタートを迎えようとしていた。

 これら12選手のうち、前後ともにスリックを装着していたのは、B・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing/16th grid)、E・バスティアニーニ(Red Bull KTM Tech3/17th grid)、小椋藍(Trackhouse MotoGP Team/18th grid)の3名のみ。あとの9選手は、全員が前後ウェットを履いて決勝を迎えようとしていた。ただし、この混乱の最中に、いったんピットへ戻りかけたビニャーレスは、心境の変化か再度スタート位置に駆け戻ってチームスタッフに大きく手招きし、彼のクルーがピットレーンゲートからマシンをグリッド上へ戻そうとする動きも見えた。ここで赤旗が提示されてスタート進行が中断、クイックプロシージャで改めて仕切り直しになった。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、7048文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
スペインGP決勝データで見るヤマハの復調
読者限定
ヘレスがスペシャルである理由
読者限定
第4戦カタールGP・復習編
読者限定
カタールGPを前に
読者限定
2025年第3戦と2018年第2戦のスタート進行の違い
読者限定
アメリカ合衆国のレースあれこれ
誰でも
Yours Is No Disgrace
読者限定
Long Distance Runaround