また何かそして別の見るもの
伝統のアッセン100戦目、という節目のレースで名を刻むにふさわしい人物であることは、おそらく万人の認めるところでしょう。じっさいに今シーズンは圧巻の強さを見せ続けており、ここまでの10戦20レースを振り返ると日曜の決勝はこれで6勝目……、という事実を前にすると、「えッ、たった6勝なの?」 と思ってしまいますね。今シーズンのあの無敵っぷりを見ていると8、9回勝ってるんじゃないかと思いがちで、じっさいに土曜のスプリントでは10戦中9勝なんですが、日曜の決勝レース勝率は60パーセントにすぎないんですね。いや、60パーセントだってじつはたいしたものなんですけれども。
参考までに、今季ここまで兄マルケスがが勝たなかったレースは第3戦アメリカズGP(P・バニャイア)、第5戦スペインGP(A・マルケス)、第6戦フランスGP(J・ザルコ)、第7戦イギリスGP(M・ベツェッキ)、という結果です。ひとつひとつのレースを振り返れば「そうそう、たしかにそうだった」と思い出すのですが、それらのレースの記憶を上書きしてしまうほど兄マルケスの強さはシャレになっていなさすぎる、ということでしょうか。なんといっても、2014年は開幕10連勝という離れ業を演じているので、10戦中6勝くらいなら「なんだ、そんなに勝ってないんだな」と思われてしまうのも彼ならしかたのないことなのでしょう。
また、今回の勝利で兄マルケスは最高峰クラス68勝となり、ジャコモ・アゴスチーニの記録に並んだそうです。そりゃまあ並ぶでしょうねえ、という感想しか持ちようがないですけれども。参考までに、この記録は歴代2位で、1位はもちろんあの人、バレンティーノ・ロッシの89勝。そこまでにはまだ21勝もありますが、今後もこれだけの年間開催数が続いていくのであれば、おそらく2年前後で達成されるであろうと思われます。来年も今年のようなシーズン展開が続くのであれば、それはちょっと勘弁してほしいなあと思わないでもないですが。