イギリスGP復習編あるいはベズでいっぱいの海

 レースではやはり予想外のことが起こるものですね。第7戦イギリスGPでも様々なことが発生しました。そんなあれやこれやを少し振り返ってみます。
西村章 2025.05.27
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 まずは優勝のベズことマルコ・ベツェッキ(Aprilia Racing)。今回の彼の優勝は波瀾の出来事(後述)があったゆえともいえるでしょうが、それでも4列目10番グリッドのスタートから序盤でぐいぐいポジションを上げて6周目には2番手へ浮上。以後も終始安定したラップタイムで走り続け、完走選手のなかでは唯一最後まで2分00秒台をキープし続けたのだから、この結果も当然でしょう。

 エースライダーである新チャンピオンの長期欠場もあって、ややしんどいレースが続いていたアプリリア勢としても、今季初表彰台が初優勝なのでまずは重畳、といったところでしょうか。決勝レース後のコメントなどについては、公式サイトのトップスリー記者会見や各種オンラインニュース記事などを適宜ご参照ください。それにしても今回のベズの優勝を愉快にしている要因は、やはりなんといってもあのイギリスGPスペシャルヘルメットゆえ、といっていいでしょうね。"God Save the Bez"と銘打ったあのデザインはご存じのとおり、Sex Pistolsの"God Save the Queen"トリビュートで、1998年生まれで26歳の彼が、1977年リリースのこのシングル盤ジャケ写をモチーフにしたデザインを採用しているところに、センスの良さを感じます。あのヘルメットは、レプリカが発売されたらちょっとほしくなりそうですよね(思いません?)。

 過去にもいろんな選手がいろんなレースでスペシャルヘルメットを使用してきましたが、今回の"God Save the Bez"は、2020年のサンマリノGPでフランコ・モルビデッリが『ドゥ・ザ・ライト・シング』のミスター・セニョール・ラブ・ダディ(サミュエル・L・ジャクソン)をモチーフにしたデザインを採用したときに匹敵するセンスの良さと知性を感じました。そういえば、あのヘルメットを使用したフランキーもミザノで優勝したのでしたよね。できればベズには、次の日本GPで『服部』トリビュートのヘルメットデザインを採用していただきたいなあ、とちょっと思いました。

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