Exit…Stage Left
最終戦のアプリリアは強かったですね。土曜予選でファクトリーチームのマルコ・ベツェッキがポールポジションを獲得。午後のスプリントは5位で終えましたが、日曜の決勝は終始力強い走りで優勝。前週のポルトガルGPに続き2戦連続で勝利し、ランキング3位で史上最長のシーズン全22戦を締めくくりました。
おそらく開幕前の予想では、ベズがランキング3位で終えると予想する人はほとんどいなかったのではないでしょうか。過去に何度も優勝やポールポジションを獲得しているし、最高峰2年目の2023年にはドゥカティサテライト(VR46)でランキング3位を獲得しているので自己ベストという意味ではそのシーズンとタイ記録なのですが、今年はラスト2戦で連勝した記憶も手伝っているのか、「ベズもアプリリアも強くなったよなあ」という印象を強く与えたように思います。シーズン前半はイギリスGPで優勝しているものの、表彰台はそれと6月末のアッセン、そして夏休み直前のチェコGPで2位に入った2回の3戦のみ。しかし、サマーブレイク明けは、10戦中6戦で表彰台に登壇。ポールポジションもサンマリノGP、インドネシアGP、そしてラスト2戦の計4回で獲得しています。ちなみにスプリントはサンマリノ、インドネシア、オーストラリアで勝利しています。……と、こうやって見ると、今年のアプリリアファクトリーはシーズン後半戦になって強さを発揮していたことがよくわかります。
昨年までのアレイシ時代はシーズン中盤までいい争いをしていても、アジア環太平洋を転戦するフライアウェイになったあたりから調子を崩しだして、優勝戦線から大きく離れて中段以降を走るレースが増えていくようなシーズンが多かっただけに、今年はリザルト面でもアプリリア自体の戦闘力が向上していることが顕著に現れた、といって差し支えなさそうです。本来ならエースであったはずのホルヘ・マルティンがシーズン序盤に負傷欠場せずに万全の状態で戦えていれば、ひょっとすればドゥカティ(というかマルケス兄)一強で終わったシーズン全体の戦力分布も、少しは違って見えたかもしれません……が、そういう「たら・れば」を言い出せばきりがないですね。そもそも、圧倒的な強さでチャンピオンを獲得したマルケス兄が負傷せずに終盤数戦も参戦していれば、おそらく相変わらずの強さで他のライダーたちを一方的に引き離して最後まで圧巻のレースをしていたでしょうし(そういうものをはたして見たいかどうかは別としても)。