2025年セパンテストとその結果から
2025年最初の公式テストを終えて最速タイムを記録したのは、多くの方々がすでにご存じのとおり、アレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)。タイムは1'56.493。以下、フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)の1'56.500、ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)の1'56.724、フランコ・モルビデッリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)の1'56.948、と4名が56秒台に入れています。続いて、マルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)が1'57.042、ペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)が1'57.175、ヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)が1'57.204、ジョアン・ミル(Honda HRC Castrol)が1'57.279という自己ベストタイムをそれぞれ記録しています。
参考までに、セパンの公式なベストタイムはバニャイアが昨年の予選Q2で記録した1'56.337。チャンピオンを争っていたホルヘ・マルティンは1’56.553で、公式記録としてセパンで1分56秒台に入れているのはこの2名だけです。その1年前、2023年のマレーシアGPでは、バニャイアのQ2ポールポジションタイム1'57.491がニューレコードでした。バニャイアは昨年のセパンプレシーズンテストでも1'56.682を非公式ながらマークしていたので、昨年のレースウィークにこれくらいのタイムが出ることはある程度予想できたとはいえ、それまでのレコードを一気に1秒以上短縮してきたのだから、これはさすがに驚きました。そのような経緯を経て、今年のテストでは4名が56秒台を記録しているのだから、もはや完全に1分56秒時代に入ったことはまちがいなさそうです。
それにしても、2010年代半ば以降は58秒や59秒の時代が長く続き、2024年で一気にタイムが1秒詰まった原因――おそらくデバイスや空力の影響がかなり大きな部分を占めるのでしょうが――について、腰を据えてじっくりと検証すると、面白いことがたくさん見えてくるような気もします。なにせ、2015年から2025年まで10年間かけてじわじわと少しずつタイムが上がってきたのではなく、2024年に一気に1秒以上詰めている、という事実も際立っているのですが、その驚くべきタイムアップを支えているのは、ジジ・ダッリーニャが陣頭指揮を執るドゥカティの技術陣であることもまた、明らかでしょうから。